『ゲーム制作講座 第四回』

     はじめに

 最近、CTRPG(チャットトークRPG)にはまっています。聞きなれない言葉かもしれませんが、簡単に言えばTTRPG(テーブルトークRPG)のオンライン版といった感じで、シナリオを用意するGM(ゲームマスター)とシナリオに参加するプレイヤーが話をしながら、そしてサイコロを使ってわいわいシナリオを進めていくというものです。TTRPGはコンピュータRPGよりずっと以前にあり、RPGの本当の意味である「役を演じる」を地で進めていくことができます。以前から某所でプレイヤーとして参加していましたが、今度私がGMをやることになりました。初めてのGMで緊張していますが、何とか頑張りたいと思います。
 そして、心機一転として、新しい名前で新しいサイトを開きました。紹介したいのはやまやまなんですが、紹介すると私のサイト「虚空堂本店」の別館になってしまうのであえて紹介しません。どこかで見かけたらよろしくお願いします。
 さて、そんな私の講座も第四回を迎えました。ゲーム製作に役立つ講座を書いていますが、私の拙い文章能力でどれだけ伝わるのか、いまもって不安です。今まではツールや製作の手順、思考ルーチンと述べてきましたが、今回はプログラムの周りについて述べていきたいと思います。


     プログラム周りを整える

 「食べてみればわかる」と言う料理人がいるように、「やってみればわかる」と言うゲーム製作者もいるかもしれません。確かに何も飾らずにゲームの楽しさが伝われば言うことはないですが、なかなか難しいものです。
 ゲームプログラムの主役はもちろんプログラムそのものです。しかし、そのプログラムの周りのもの、例えばグラフィックや音楽なども忘れてはいけません。これらはゲームをより引き立たせるアクセントとなりうるものです。
 例えば、出来立てのハンバーグが白い皿の中央においてある図を想像してみてください。ハンバーグそのものは食べてみないとわかりませんが、おいしそうにできています。しかし、ハンバーグだけではやはり素っ気ない気がするでしょう。
 ハンバーグの周りにポテトやにんじんを添えたり、ハンバーグにデミグラスソースをかけたり、皿を模様付きのものに変えたりすることで、ハンバーグの味を引き立たせ、舌のみならず目でも楽しませることができるのです。
 ハンバーグはプログラム、ポテトやにんじん、ソース、模様付きの皿はグラフィックや音楽などのプログラム周りにあたります。プログラム本体だけでもゲームは成り立ちますが、やはりプログラム周りの素材があったほうがより良いといえます。
 ただし、あまりに飾りすぎてゲームそのものが見えなくなったり、突拍子もない音楽やゲームの内容に合わないグラフィックでゲームの質を損ねたりすることは論外です。それでゲームを壊すくらいなら何も飾らないほうがまだましと言えます。


     フリー素材を有効利用する

 前項で述べた様に、ゲームはプログラムの他に、絵や音楽、シナリオ、人物やステージのデータなど、いろいろな部品が集合して成り立っています。プログラムやデータは皆さんが作るとして、それ以外の素材は誰が作ればよいのでしょうか。
 無論、全部自分で作ることができれば完全なるオリジナル作品ができますが、人間、得手不得手というのは必ずあるもので、苦手な分野、言い方はあまりよくないですが質が低い部品だってあるはずです。
 まあ、それも承知で全部作ってしまえるというのも、フリーのゲーム作品の自由な部分です。私は絵があまり上手くないのですが、でも自分らしさというか、自分の味というか、そういうのが出てくるので、全部自分で作っています。
 もし、自分が苦手な分野を得意とする友人(実際でもネット上でも)がいたら、その人に依頼するというのも一つの手です。自分の苦手な分野を得意な人が補うことで、全体の作品の質を高めることができましょう。
 また、フリー素材を利用するという方法もあります。フリー素材というのは、作者の好意により使用が自由に使える素材のことで、主としてグラフィックや音楽のフリー素材が多く出回っています。フリー素材を使うことによっても、作品の質を高められます。
 他の人が作った素材を使うことで、その分野は自分で行う必要がなくなるので、その分の時間や労力を他の分野に回せるという利点もあります。結果として全体的な底上げが期待できるのです。
 ただ、デメリットとして、オリジナリティが薄まってしまうということが考えられます。以前、私のサイトの掲示板でフリー素材の話題が出たとき、「フリー素材を使ったゲームにオリジナリティが存在するのか」という投稿がありました。確かにそういった危険性はありますが、でも私はフリー素材について、過度に使用しなければ「諸刃の剣」には成り得ないと考えます。物事はほどほどが最良なのです。ギリシャの哲学者・アリストテレスも「中庸(メソテース)が一番だ」と言葉を残しています。
 友人に作ってもらう場合は、依頼の段階でお願いするので(友人が承諾するかは別ですが)いいのですが、フリー素材を使う場合は、その素材の製作者に「あなた様の素材を使用しました」といったアクションを見せたほうがよいでしょう。例えばサイトでのゲームの紹介文やゲームの説明書に、「このゲームでは○○様のフリー素材を使用しました」といった一文を明記する、または素材の製作者に素材を使用した旨のメールを送るといった感じです。フリー素材の製作者はより多くの人に使ってもらいたいと思って公開しているので、そういった反応がでることを喜ばしいことと感じると思うのです(私もMIDI作品のフリー素材を公開していますが、やはり使ってくれている人から報告があると嬉しいものです)。
 フリー素材の作者へのアクションを示すことは義務ではありませんが、フリー素材とはいっても、著作権は放棄していない(日本の法律では放棄できません)ので、感謝の気持ちを込めてアクションを示すということはゲーム製作者としてのマナーであると言えます。無論、フリーではない素材の場合は事前に作者へ使用の許可を得る必要がありますし、フリーではない素材を無断で使用した場合は、厳重注意や削除勧告、最悪の場合訴えられますので、良心を持ってゲーム製作に臨む皆様は絶対にそんなことはしないでください。


     アピールも必要

 レストランのシェフは、お客に食べてもらうために料理を作ります。ウェブサイトの管理人は他の人に見てもらうためにサイトそのものやコーナーを作ります。それと同様に、ゲームの製作者は他の人に自分の作ったゲームを遊んでもらうためにゲームを作るという意識は、優先的なものではないにせよ、どこかにあるはずです(技術習得のための練習作品のような、公開の予定がないゲームはその限りではないですが)。
 どんなに頑張って作ったウェブサイトも、どんなに心血を注いで作ったゲームも、見てもらったり遊んだりする人がいなければ、作った意味・存在意義がありません。他の人が見たり遊んだりして、感想や意見をもらって初めて作った意味があるといえます。では、自分が作ったゲームの存在を他の人に示すにはどうすればよいでしょうか。
 自分のサイトを持っているのであれば、やはり自分のサイトに掲載する方法は欠かせません。この方法によって、訪問者に対して自分のゲームの存在をアピールできるという事は言うまでもありません。しかし、自分のサイトを持っていなければ当然この方法は使えませんし、今まで一度もサイトを訪れた事のない人にはアピールすることができません。
 そこで、オンラインソフトを掲載しているサイトに作ったゲームを登録するという方法が有力です。有名なのは「Vector」(http://www.vector.co.jp/)です。他にも「Anyware」(http://www.r-troops.com/)などが挙げられます。これらのサイトへ掲載することで、広く自分の作ったゲームをアピールすることができます。これにより自分のサイトの集客力アップも期待できます。
 また、Vector等にゲームを掲載することの相乗効果はこれに限りません。パソコン雑誌にはフリーウェアの掲載コーナーがあるものが多いのですが、コーナー担当者はVectorなどのサイトを定期的にチェックして掲載候補を探していると思われます(私の憶測に過ぎませんが)。もしかしたら皆様のところに雑誌編集部から掲載および付属CDへの収録依頼のメールが来るかもしれないのです。広くアピールすればそれだけ多くの収穫が期待できます。アピールの努力は惜しまないほうがよいでしょう。
 あと地道な方法として、他のサイトの掲示板に宣伝の書き込みをするというのもありますが、中には宣伝を禁止している掲示板もありますので、この方法を使うときは十分気をつけてください(掲示板とはそのサイトに関することや、その際とで話題になっていることについて書き込む場だと考えています。作ったゲームの宣伝は、そのサイトに関することではないので、私はあまりお勧めしません)。


     2つの「Q」

 物事には2つの「Q」が存在します。Qで始まる重要な英単語で真っ先に思いつくのはQuality、「質」でしょう。確かにゲームを作る上で質の高さは重要事項です。しかし、昨日今日ゲーム製作を始めた人がいきなり質の高い作品を作ることができるか、というとそうではありません。やはり、ある程度作品を作ってきて、品質を高めるにはどうすればよいかということを知っておかないと、高品質の作品は作ることができないのです。
 そう、もう一つの重要なQとはQuantity、「量」なのです。数多く作ってゲーム製作のノウハウを知っておくことで、コンスタントに質の高い作品を作ることができるのです。ある高名な映画監督の言葉に「1本のA級作品の陰には、99本のB級・C級作品があることを忘れてはならない」というのがあります。つまり傑作と呼ばれる作品を多く輩出している人は、それだけ、あるいはそれ以上に多くの駄作を輩出しているということに他ならないのです。駄作を作ることは決して恥ではありません。駄作から学び、次につなげることが重要で、即ち傑作への近道なのです(誤解を招かないように言っておきますが、決して「良作を作る努力をしないで駄作を作り続けて良い」ということではありません)。
 「質」と「量」は、よく「量より質だ」と言われるように相反し、また「量」は「よくないもの」というイメージが強いのですが、実はこの2つの言葉は互いに密接しており、また「量」なくして「質」は出てこないので、「質」は「量」に従属していると言えるのです。


     まずは一本作ってみる

 今後、ゲーム製作を自分のスキルとして持っていきたいと考えるならば、規模が小さくても、またゲーム製作のツールに頼ってでもよいので、一本ゲームを作ることを目標としましょう。
 当たり前のようなことかもしれませんが、一本でもゲームが作ることができれば、ゲームとはどのような要素で構成されているのかを知ることができ、またそこから応用・発展させることが可能となり、次のステップへ進むことができるのです。逆に言えば、一本もゲームを作ることができなければ、ゲーム製作を自分のスキルとして習得することは不可能であるのです。
 これはゲームに限らず、音楽、イラスト、物語、ウェブサイトなど、創作活動全般に言えることです。まずは作ってみることで、よりよい方法を模索することができ、自分らしさのある作品を作っていくことができるのです。
何はともあれ、論より証拠、プリンは食べてみないとその味はわからないのです。つまりは「とにかくやってみよう」ということです。あのプロレスラーの言葉を借りて変形するならば、「迷わず作れよ、作ればわかるさ」なのです。


     終わりに

 自分で「いいのができた」と思っても、他人の評価は今一つであったり、自分で「今一つかな」と思っても、他人の評価は良かったりと、自分の評価と他人の評価というのはなかなか一致しないものです。ゲームを作ったら公開して、他人の評価を聞いてみましょう。
 さて、何とか第四回も終わりました。それではまたお会いしましょう。
 

                                          了

| トラックバック (0) | コメント (0)

この作品をはてなブックマークに追加はてなブックマークで感想を書く