書評『ヤングガン・カルナバル 著/深見真』

著/言村律広


 いまや押しも押されぬ百合作家の深見真氏の作品である。「ブロークン・フィスト」を読んでから、私は暫く氏の作品を読んでいなかったが、その間にどうやら百合作家と呼ばれるようになっていたらしい。びっくりだ。
 さて、本作は徳間書店からトクマ・ノベルズEdgeとして刊行されている。私の購入動機は帯の【押井守監督推奨】という文句よりはその下方にある【本物のアクション作家が誕生】を見たからだ。アクション作家というのが、どういうものか見てみたくなったのだ。
 本作は二本立てとなっている。二人の主人公が、それぞれの物語で生きている。クライマックスで合流はするが、それでどうなるということもなく、ただ二つの流れが一冊の中に収められている。なので、滑走が長い。離陸地点が遠い。登場する人物の説明と、登場する銃器の説明でほとんどが占められるのが本作だ。一冊使ってプロローグを書いたということになるだろう。主人公の一人は木暮塵八。こちらのストーリーはほのぼの学園モノと落ち着いた殺し屋の話という構成で、ヒロインは根津由美子。もう一人の主人公は鉄美弓華。こちらが百合モノと熱い殺し屋の話となっており、ヒロインが久遠伶。二人の主人公のうちでは弓華の方が本作のクライマックスとなる事件に近いので、そちらがメインになるだろうか。これに事件の黒幕やら敵の殺し屋やらが登場するので、そりゃあもう一冊に収めるのが大変だったのではないかと余計なことを思ってしまう。
 肝心のアクションシーンはどうかというと、これはさすがと感じた。派手ではない。むしろ地味で、かといって書き方が下手というわけではない。銃を撃つという行為が当たり前で、日常の光景として描かれている。それは、歩いていて小石を蹴飛ばすような何でもなさでヤングガンたちの生活に溶け込んでいる。
 例えばミステリ小説であれば、謎を構築した上で物語を語らなければ、ただのクイズ本になってしまう。だとすると、アクションを舞台にして百合小説を書き上げたという点で、この作品はまさしく本物のアクション小説となっているのではないだろうか。
 というわけで、真に肝心な百合の部分だが、不肖私は百合に詳しくない。鉄美弓華はしきりにセックスしたがっていたが。


Amazon.co.jp: 本: ヤングガン・カルナバルヤングガン・カルナバル Tokuma novels―Edge
深見 真 (著)
新書: 235 p ; サイズ(cm): 18
出版社: 徳間書店 ; ISBN: 419850671X ; (2005/06)
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