『STRANGE STROLL』

著/霧生康平

 どうしても目が冴えて眠れなかったので、夜の散歩と洒落込むことにした。とはいえ特にあてがあるわけではなかったから、近所の公園に行くことにした。するとそこで妙な光景を目にした。
 何かの工事中なのだろうか、小型のパワーショベルがあったのだが、そのアームが満月を支えていたのだった。太りすぎの満月はいかにも重そうで、アームは耐え難いといわんばかりに軋んでいた。このままだと遠からず落っこちると思ったのでパワーショベルに乗り込んでエンジンをかけると、たちまち力がみなぎってアームは力強く月を支えなおした。
 慎重に操作して、どうにか月を元の高さまで掲げなおそうとした。ところが月の重さに耐えかねたのか、目一杯伸長していたアームが嫌な音を立てて中途から折れてしまった。支えを失った月はそのまま地面へと落下していく────────。

 月が落下した衝撃で目を覚ますと時刻はまだ真夜中で、窓の外にはまん丸い月がいつものように浮いていた。私は月に向かって手を伸ばして月が落ちてこないことを確認すると、夜明けまで寝直すことにした。

『奇妙な散歩』450文字

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