『HOW TO LIVE YOUR LIFE』

著/キセン

 やり方はそんなに難しくない。人差し指をこめかみに当てて力を込める。最初はただ痛いだけだろうがそこで止めてはいけない。ずっと、昼も夜も、人差し指に力を込め続けるのだ。三日目ぐらいには、少し指が骨に食い込んでいるはずだ。そこまでくればあと一息。半日ほどで、人差し指は頭蓋骨を突破して脳に至る。そうなればしめたもの。もう君の身体は君のものだ。最初は難しいかもしれないが、慣れてくれば、脳のなかをどうかき回せば、どのように身体を動かすことができるかを把握できる。愉しいよ。自分の身体はこうも鋭敏だったかと思うはずだ。だが、ただ一つ、動かせない箇所があることだけは覚えておいてくれ。それは云うまでもなく人差し指だ。脳をかき回すことで、人差し指を動かすことはできない。いや、できないわけではない。ただそれを実行してしまった瞬間に、人差し指は自己律動のループに飲み込まれてしまい、ずっとその場所を動かし続けてしまう。当然、それ以外のことは何もできない。おまけに、刺激され続けているものだから脳はその活動を止めない――死なない。つまり、永遠にそのままだということだ。くれぐれもそうならないよう気をつけて欲しい。
 では、良い人生を。

『グッド・モーニング』508文字

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