『EYES DETOX』

著/フルヤマメグミ

『あなたの顔から毒を取り除きます!』
 いつもなら読み飛ばしていたスパムメールの、タイトルに興味を惹かれた。目尻の烏の足跡を懼れている身には、まさしく福音だった。
 マウスをクリック、翌々日に宅配便で到着。
 封を開け、顔に満遍なく塗ってみる。芳香とも悪臭ともつかない匂いを発する、不思議なジェル状の半液体だ。
 表面が乾いたら剥がしてください、とのことだったので、額の上から剥いてみた。早速頬に触れてみる。おお、今までにない瑞々しさ。赤ちゃんの肌のようだ。
 上機嫌のまま鏡を見る。
 自分の視覚を疑った。
 眼窩から眼球が消え、木のうろのように真っ暗く落ち窪んでいた。
 目が毒消しの犠牲となってしまったらしい。これがここまでの人生で溜めてきた毒というわけか。『目は心の鏡』という言葉の意味を噛みしめてしまう。どうりで最近恋愛にも縁がなかったわけだ。
 眼球がないのにものを見られるのは不思議だが、ともあれこの顔のままでは外出もままならない。義眼とつけまつげを探すため、インターネットの世界へ旅立つことにした。

『パック』449文字

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