『SHAPES OF ROCK』

著/秋山真琴

 開店して間もなく彼女は訪れる。
 時間になると扉が開いて、くるくると踊りながら出てくる人形のように、彼女はふくらませたスカートを、店のあちこちにぶつけながら商品を見て回る。ぼくは彼女の後ろをそっと追いながら、落ちたり転がったりしてしまった商品を、元の位置に戻してゆく。いつも通り、決まった道筋を歩き終えると、彼女はレジのそばにある棚から、ぼくが河原で拾ってきた石ころを取り上げる。
「五円です」
 ハンドバッグから財布を取り出し、財布から五円を取り出し、彼女は静かな仕草で硬貨をぼくに手渡す。まるで先ほど作ったばかりのように、その五円は鋭く輝いている。
「ありがとうございました」
 ぼくが頭を下げると、彼女は石ころを財布にしまい、財布をハンドバッグにしまい店を出る。
 扉が閉じるのを確認し、ぼくは店を閉め、河原へと石ころを拾いにゆく。

『賽の河原』364文字

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