◆ 回廊座談会 ◆


秋山真琴(秋):と言うわけで恒例の座談会です。皆様よろしくお願いします。
一同:お願いします。


  【表紙】

藤堂桜(藤):表紙を描く事が決まって、「明るく 楽しい感じ」と呪文のように呟きながら描きました。仕上がったものは、逆方向に行ってしまった気がしますが……個人的には気に入っております。狐面とか。
恵久地健一(恵):見た感じ、ただの女の子というだけじゃない雰囲気がしますね。
雨街愁介(雨):確かに……幽玄を身にまとっているといいますか……。
藤:女の子は狐が化けた姿で、人間の男の子とお祭りの時だけ再会する……っていう、脳内設定があったりします。
痛田三(痛):花火の表現がスタイリッシュで好きですね。
藤:花火は一番手間取ったので、そう言って頂けると嬉しいです。ありがとうございます。
恵:藤堂さんの方で、表紙イラストにつけたタイトルとかあるんですか?
藤:さっきの脳内設定に合わせ『約束の夏祭り』とつけてはいます。
恵:なるほど。赤い糸とかは、そういう設定なんですね。
藤:約束を表現するのに、小指をどうにか使いたかったので 赤い糸を二人にそれぞれ結びました。
夏目陽(夏):あれ、運命の赤い糸ってどんな話だったかな。
雨:運命の人とは、赤い糸が繋がっていて、やがて結ばれる運命にある……というのではなかったでしょうか? うろ覚えですが。
秋:この表紙には何度も口を出し、手を加えていただきました。けれども、それは元の作品が駄目だったからではなく、手を入れることでさらに飛躍ができる可能性を秘めていたからだと思います。たとえば狐面の少年であるとか、着物から舞い飛ぶ蝶々であるとかは、元はなかったアイデアなのですが。これらを入れることで、かなりいい絵に仕上がったと思います。
藤:画面が華やかになったし なにより絵の中に物語ができたので良かったです。いつもアイディアありがとうございます。
秋:幾度にも渡る描きなおしに、丁寧に対応してくださって感謝しています。ありがとうございました。


  【中表紙】

秋:作者は遥彼方さん。受験生ということで、第一線からは引かれましたが、イラストだけお願いしてみました。
雨:鎖骨がやけに官能的ですねー。
秋:で・す・よ・ねーっ!
夏:これを言うと後で怒られそうなのですが、これを最初に見たときはあの首の伸びる妖怪かと思いました、ごめんなさい。
秋:「では行こう。約束を果たしに」という文は秋山が入れました、この科白を先に思いついていたので入れてしまいましたが、今にして見ると、ちょっと絵とミスマッチですね。
恵:が復讐っぽくて、なんか怖いよ(笑)
秋:ふ、復習ですよ! 復習!
夏:そんなことを言うと、何を復習するだよって私みたいな人に言われますよ。


  【桂たたら「まつりの時間」】

秋:これは傑作でしょう! 作品そのものの素晴らしさもさることながら、空信号さんの絵も映えまくってる。
恵:作品は、これまでの桂シリーズの中で、一番よく書けていると思いますよ。たぶん、桂さんの一人称は『回廊』初だと思うけど、一人称に独特の勢いがよく出てるし。
秋:作品を一言で表現するなら「DIO様VS範馬勇次郎」です(※DIO様=荒木飛呂彦・作「ジョジョの奇妙な冒険」の登場キャラ、範馬勇次郎=板垣恵介・作「グラップラー刃牙」他の登場キャラ)。
恵:「裁くのは私の能力です」ゴゴゴゴゴォ。みたいな感じのお話。
踝祐吾(踝):伝奇じゃなくてジョジョなのか。
夏:個人的にああ、これは仮面ライダー(※石ノ森章太郎・作)だなあって思っていたけれど。
恵:仮面ライダーのは時間うんぬんじゃなくて、ただ早く動けるだけだと思う。
秋田紀亜(紀):おもしろかったです。このシリーズを読んだのは初めてですが、ジョジョとかハンターハンター的な題材を、普通の少女が巻き込まれ型でやるのが新鮮でした。能力とそれに付随する制限と敵とゴールとが、無理なくバランス良く設定されていたと思います。


  【伊達山城守智之助「GOD」】

踝:結構紆余曲折があったんですよね。
秋:そうだ。この作品はすごい編集に時間が掛かっているらしいですよ。
水池亘(水):終盤のキレが良いですね。あと一〇〇文字増えると駄作になってしまうかも。
秋:言村さんがじっくり見たみたいです。
踝:最終的には、言村さんと智之助さんのタイマンマッチで闘いあったとか。その結果、上手くまとまったんじゃないかなと思います。すっきりスマート。


  【赤井都「"LOOK AT THE MELON STARS" SAID MY STAR」「THE SUGARY APPLE」】

水:この二作は姉妹編のようなものですね。内容に関連性はあまりないのですが、雰囲気やテーマに共通性が見られます。二作連続で掲載されているのはそのような意図からです。
踝:「メロンスター」と聞いて、思わず「金色のガッシュ!」(※雷句誠・作)の「ベリーメロン」を思い出しました(笑)
雨:強烈なフレーズですよね(笑)
水:ですから、どちらか片方だけ読んでも作品のよさは完全には理解できないと思います。祭のあちら側でこんなことが起こっていたときに、こちら側ではこんなことが起こっていたんだよ、という風に僕は読みました。あと、赤井さんって時々ロマンチストですよね。素敵です。
秋:赤井さんは文章が美しい。どれかひとつの言葉の選び方が上手いとか、雰囲気作りが上手いとか、もうそんな次元ではなく。全体的に上手い。
雨:同感です。流れが流麗な文ですよね。
踝:そうそう。流れるように綺麗。見開きにすると映えるんですよね。
夏:こんなこというと後で秋山さんに怒られそうだけど、五〇〇文字で何が書けるのさ?
雨:書けないものを書くんですよ。
水:五〇〇文字あれば全てが書けます。
夏:でも、面白いものを書くには枚数が足りなすぎるよ。
踝:読者の想像力に任せる部分が多いので、そういった感性を刺激するのが上手いのですよ。
雨:もし世界が皆そうだったら星新一やバリー・ユアグローは完全無視になっちゃいますよ。
水:まあ、実際長編でなければ本領を発揮できない作家もいるにはいますし。
夏:でも、長く感動して、一生のバイブルになるようなものは書けないよ。
踝:文字数じゃないんだよ、文字数じゃ。
痛:詩も短いですね。
夏:うーん、よくわからないなあ。
水:まあ超短編の面白さを理解した(と納得する)のには時間がかかりますから。詩や短歌と同じく。
秋:なっちゃんの言うことも分からないではない。俳句短歌詩超短編。一面においては、なっちゃんこそが正しいかもしれません。字数の少ない作品にも感動はあるというのは、その人が持っている認識なわけで。けっして、水池くんや踝さんの方が、なっちゃんよりも優れているというわけではないと思います。


  【からさき・玖堂特集イラスト】

踝:並べてみるまで「大丈夫かなぁ」と思ってたけれど、いい感じに収まりましたね。その辺が意外でした。
秋:うん。いい感じじゃないですか。
痛:祭といえば女の子ですね(キッパリ)。
秋:からさきさんの描いた女の子は、赤井さんの超短編に出てきそうです。「THE SUGARY APPLE」の方。
雨:アート系な感じが好み。ああっ! 尻尾がある……。
秋:ポップでいいですよね。こういうの大好きです。個人的には、次号の表紙に……! と思っちゃったりしているのですが、いかがでしょう?
星野慎吾(慎):人外ぽいですね。狐のお面をかぶった、狐娘。
水:玖堂さんの、棒のついたクマが気になって仕方ありません。
秋:団扇でしょ。
踝:言われてみれば綿菓子っぽい熊にも見えるッ……!
雨:同じくです。クマ萌え。禁断の。
秋:クマと言えば、クマパジャマ。
夏:なんですか、クマパジャマって?


  【恵久地恵一「リクエスト」】

秋:出番ですよ!!
恵:作者が自作の解説をやるもんじゃないよ(苦笑)
踝:かっこいい!
夏:ちなみに夏目は今回の回廊の中でリクエストが一番だと思ってます。
踝:なんというか、いわゆる密室劇の一つという気がします。
秋:マンハッタン三部作ということで、次号以降もよろしくお願いしますね。その後は、マティーニ三部作。そして、サイドカー三部作。
雨:全部読んでいないのでこれまたなんともなのですが。文章がスタイリッシュな感じで良いですねー。
慎:恵久地さんの作品は人が人間臭くていいですね。
恵:綾風さん、今回は扉イラストありがとうございました。この場を借りて、感謝を述べておきます。
綾風花南(綾):扉絵、今回は本文を何度も読んでキャラクターの構想を練るのが楽しかったです。
綾:何度も読んで私自身も楽しませていただきました♪
秋:出た! 何度も読んだ。作者にとって至上の誉め言葉じゃないですか! やりましたね!
恵:そうですね。ありがとうございます。
紀:「リクエスト」はラストの1枚が効いていると思いました。あそこで(ベタな)ジャンル小説を超えた感動を獲得していると思います。
恵:まあ、探偵の仕事は事件を解決することであって、被害者や加害者を救うかは別問題。みたいな感じで。


  【水池亘「GREEN WATER」】

踝:これはなんとまた……ねっとりとした感じですね。
水:七号の秋山さんの超短編を読んで、そういうやり方があったのかとまねしてみたのが本作です。
秋:なるほどね。そういう趣向か。
水:つまり日本語題でオチをつけるという構成ですね。
踝:日本語題がオチになってる、というのは回廊タイプ超短編でしか出来ないパターンですね。
雨:あ、ああ! 成る程。理解できました。
慎:ちょっと感動しました。


  【伊達山城守智之助「A PRESENT」】

秋:智之助くんの作品は基本的に古くさいと思うのだが、どうだろうか?
踝:直球ストレートなので、たまに「なんか裏があるんじゃね?」という感じもあります。なんか変化球ばっかり読んでるからかな、どうも身構えちゃうんですよ(笑)
水:九〇年代の欧米のホームドラマ見たいな雰囲気を感じました。
雨:伊達さんの作品は「この木何の木気になる木」を思い出してしまったのですが。
伊達山城守智之助(伊):若干イメージはしています。って言うか、元はクラスメイトが何気なく言った「この木何の木」が元ネタですので。
雨:あ、やっぱりですか。ただ、これは個人的な習性なのか、このままBLな展開に行きそうな気がしてしまって(笑)
水:編集にやたら長い時間を費やしてしまって、申し訳ありませんでした。
伊:いえ、むしろあんなに丁寧に見て頂いたことに無上の喜びと感謝を感じます。本当にありがとうございました。


  【踝祐吾「積読にいたる病」】

秋:最後の一段落が超絶脱力系で最高。
踝:もうちょっと煮詰めれば良かったかなぁ、と今更ながらに後悔。
痛:ここから秋田さんの超短編につながっていくのは素晴らしいと思いました。


  【秋田紀亜「BOY MEETS GIRL」】

秋:これも、智之助くんの作品と同じく、前号に惜しくも掲載されなかった作品ですね。
踝:多分二段落目の少女の台詞がすべてなんでしょうね。
紀:なんというか、この作品は確信犯的に書いたので、逆に読んだ人の感想を聞きたいです。
雨:これは確かに……ボーイ・ミーツ・ガール(笑)ただ、最後の日本文タイトルとの兼ね合わせがよく分からなかったのですが……。
秋:作中の○○を、○○○に置き換えて読むのですよ。
踝:○○○が人間が決めたルールなら、人の人生もまた、神の決めたルール。そんな感じでしょうか。
雨:理解できました。ミュージシャンが代名詞で語るものは必ず音楽を表している、というやつですね。
水:これも編集にそこそこ時間のかかった作品ですね。文章のキレ・テンポが絶妙で、流れるように読めます。


  【芹沢藤尾「陽炎の夏」】

雨下雫(雫):ははは、ヤツは今シャワーだ、残念だったな。
秋:じゃあ、いいか。
踝:とりあえずは、祝・連載再開って事で。


  【姫椿ひめ子「CHILDISH LUST」】

踝:エロいっすね。いろんな意味で。


  【星見月夜「蛍」】

秋:今までは僕らの青年期と題された、似たようなものがテーマになっている連作だったのですが、今回はやや趣きが変わっています。星見さんらしさを出しながら、また新しい作風も感じます。素敵に仕上がっていると思います。
恵:「蛍」の主人公はちょっとダメなヤツだけど、マニュアル車に乗っていたのは評価できる(笑)
踝:回廊に書かれる方は上手い文章を書く方ばかりで、至極勉強になります。最後までするすると読んでしまいました。郷愁の世界ですね。
慎:星見さんは、主人公の年齢が高いほうなので、回廊にも幅ができてますね。


  【痛田三「STILL OF THE NIGHT」「AN EAR」

水:素晴らしいですよ!
恵:素晴らしいですね。
慎:奇妙でかっこよかったです。
痛:あまり考えずに書いたので、お見苦しい限りです。
紀:どちらも、起承転結がはっきりしているので好きです。
伊:両作とも「格好良いの書くなぁ」と言うのが素直な感想です。言ってること星野殿と同じですが、感服。
恵:自分の好みで言えば、超短編『AN EAR』の方が評価が高いです。まったく関係ないように加えられている最後の一文が効果的なんですよ。
痛:耳は自分でもお気に入りですね。
伊:他愛も無い感想ですが、『STILL』は読んでて足の指が痛くなりました(笑)
踝:視点がぐるぐる回転していきますね。目が回りそう。
痛:『STILL』はアリス症候群から発想を得ました。
踝:「不思議の国のアリス症候群」なんて病気があるんですね。
秋:超短編の並びに関しては、秋山と水池くんの間で喧々諤々、確か三十分以上に亘り議論を交わした記憶があります。
水:最終的には夏目さんのコラムと共通点があるということで、この位置になりました。


  【芹沢藤尾「自転車」】

秋:シャワーから戻ったらしいね。
芹沢藤尾(芹):要するにチャリが好きなんだよ!
夏:自転車は誰もが何かしらの思い出を持っているものじゃないかな。
芹:実はこれ以上書くと灰色通り越して黒くなってしまうのだ。
秋:そうだな。まあ、お前がどんなに黒くたって、見捨てたりしないよ。
芹:ありがとよ。


  【夏目陽「It's only talk.」】

秋:これ、すべて実話らしいですよ!! なっちゃんは土下座魔だけでなく、セクハラ魔でもあった! さいてー!
痛:姫椿さんよりエロイと思いました……。
夏:そんな、ひどいよ。だってみんなこんな青春でしょう?
秋:『回廊』では一般性が高く、多くの人に楽しんで読んでもらえるであろう作品を巻頭に、一般性はないものの、一部の人に強く愛されるであろう作品を巻末に持ってきています。そういうわけで、『回廊』第八号のベスト・オブ・ダウナーは、芹沢藤尾の「自転車」を制して、なっちゃんの「It's only talk.」でした! おめでとうございます!!
伊:パチパチパ……祝って良いのでしょうか……。
踝:ほら、回廊の巻末と言えばジャガーさんの立ち位置ですから。祝っていいですよ! 多分!
夏:正直、本当に祝われていいのか私も疑問です。


  【総括】

秋:第八号では小説作品は少なめになりましたが、その代わりイラストと超短編がいつもより多いです。また、何人もの新しい人が参加してくれたおかげで、『回廊』に新しい風が吹き込んだような気がします。めでたいことです。
踝:たまにはこういう回もあってもいいかも。いいかも、とは思うけれど、七号と比べた時にやっぱりちょっと疑問の部分はあるかな。
水:たまにはこんな回もよいのではないでしょうか。
伊:新しいような新しくないような感じの人物ですが、以降もよろしくお願いしますです。

秋:それでは皆様、遅くまでお疲れ様でした!
夏:お疲れ様でした。
紀:お疲れ様でした。
痛:おつかれさまでした!
水:お疲れさまでした。
藤:お疲れさまでしたー。
恵:お疲れ様でした。
踝:お疲れさまでした。


                             (2006.08.06.回廊チャットにて)

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