『GOD』

著/伊達山城守智之助

夏祭りに沸く夜の神社に、暗く目立たず、何か不思議な、人を寄せ付けない空気の漂う店があった。人々はその店に気付くことなく歩いていたが、男が一人だけ、その店に入っていった。
「ねぇ、この店、一体何の屋台なんだい?」
「ここではね」
 祭りの喧騒に満ちた賑やかな空気とは裏腹に、売り子は暗く、静かな声で答えた。
「何も売っていないよ」
「何も? だったら、あんたなんでこんな所で屋台出してるんだい?」
「簡単なことさ」
 売り子はニヤッと笑って言った。
「ここの神様は、寂しがりでね。人間は、祭りで神様を無視して騒ぐばっかりだからさ、構ってくれる人間を探しているのさ」
 その夜を最後に、男は消えた。ただ、本殿の前には、人間の血の痕が残っていた。それが男の血なのかは不明だったが、木々がこう言っているのを聞いた者があるという。
「祭られたな」

『意味』359字

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