『BOY MEETS GIRL』

著/秋田紀亜

「こんにちは」およそ人に好かれたことがなく、退屈な毎日を送る僕にとって、この出会いは唐突だった。何しろ僕はそれまで年配の女性としかあまり話したことはなく、こんな少女は初めてだったから。少女は直截だ。「年いくつですか? 学校はどこ? 休みの日は何してるの? 彼女いるんですか?」少女は残酷でもある。「あなた恋人向きではないわね。かと言って結婚相手向きでもなさそうだけど。髪切ったほうが良いですよ」僕の思考速度が彼女の喋りに付いて行けない。
 ある時珍しく彼女が落ち込んでいた。「あと二週間の命なんだって。あたしの人生、始まったばかりだと思っていたのに。こんなに短くて一体何ができるって言うのよ!」僕は何も言えなかった。「もうあなたとは会いたくない」

 二週間後、少女から会いたいと連絡があった。「この短い一生も多分最初から決められていたのね。こんなあたしと付き合ってくれてありがとう。あなたと会えて良かった」僕も君に会えて良かったよ。「無になるのではなく、元いた所に還るの。親には悪いけど。母は二人流産しているから。あたしの分も色々見てきて、後で聞かせてね。ここにも素晴らしい出会いがたくさんあると思うわ」と周りを見回した。
 最期に少女は微笑んだ。
「またね」


『少女=超短編』526文字

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