『CHILDISH LUST』

著/姫椿ひめ子

 そのようにするにはお互いに幼すぎました。少年は前髪を切りそろえたあどけないままでありました。少女は血も流しておりませんでした。どこかで覚えてきたのでしょう、「みだれてみたい」と少女がくちづけをねだり、少年も未熟な仕草でくちを合わせます。少年が小さな手で黒くつややかな少女の髪に指を絡めると、少女は頬を染めて汗ばんだ吐息を漏らします。愛し方が分からないのにただただお互いを求めようとして、わけのわからぬままに愛し合いますが、お互いがお互いだけを求めるやり方がわからなくて、どうしようもないと涙を流します。
 ぐるぐるぐるぐる、どうどう巡り。きらきら変わって、また戻る。「マンゲキョウみたいね」少女は涙を流して「なんでべつべつなんだろう」少年は悲しそうにそう言います。
 一緒になりたいのに身体が邪魔で、溶け合ってしまいたいのに身体が邪魔で、もうそれならと捨ててしまうことにしました。
 少年と少女はふたりの絆だけをたよりに、少年は髪を結い、少女はつたない薄化粧をして、海へと向かう列車に乗り込みました。


『ままごとひめごと』480文字

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