『A PRESENT』

著/伊達山城守智之助

 パパが僕にプレゼントをくれた。すごく大きくて、立派な木だ。
 その木に登って、遠くを見ていると、友達がやって来て言った。
「何をやっているんだい?」
「この木で遊んでいるんだ。一緒に遊ぼうよ。」
 それから、僕達は木に登って、色々な事をして遊んだ。
 そのうちに、僕が落とした小枝が、友達の頭に当たってしまった。
「何するんだよ!」
 そうして喧嘩が始まった。
 やがて、夕日が木を、家々を、僕達を、全てを赤い光で包んだ。
 それを見て、僕達は喧嘩をやめて、目の前の木を見上げた。夕日で燃える木は、昼に見た木とは違って、騒がしく僕達に何かを語りかけてくる。僕達はそのささやきにしばらく耳を傾けていた。
 ふと気付くと、赤い、赤い、大きな木の横に、赤く、赤く、小さな頬を染め上げた僕達が立っていた。僕達は顔を見合わせ、どちらからともなく言った。
「ごめんね。」
「ううん、僕もごめんね。」
 僕達は顔を見合わせて、思わず笑い出した。
 段々と暗くなっていく木の下で、僕達はいつまでも、いつまでも笑っていた。
 笑いながら、僕は考えた。パパはすごい木をくれたな、と。
 だって、僕が木にもらった物は、どんな高価なプレゼントよりも、大切で、嬉しい物だったんだから。

『頬』514文字

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