『STILL OF THE NIGHT』

著/痛田 三

 足の指がじくじくと疼いて眠れない。まるで心臓がつま先に垂れ下がったかのようだ。そのうち足の指は、鼓動に合わせリズムよく膨らんでいき、ついには部屋中が足の指となった。
 すると足の指を伝って隣室の会話が響いてくる。それは聞きかじっただけではたわいもない雑談だが、時間を超越した観点から改めて諦聴すると、その一語一語が釣り針となって船腹を引き上げていた。
 さらに水底には人の目をした巨大魚の笑み。
 ハッとなり飛び起きると、天井に頭を打ちつけた。身体が羽のように軽く華奢な存在に感じられた。恐る恐る上の方を見る。がふがふと笑う。
 そこは床だった。

『夜のしじまに』270文字

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