『THE GREATFUL WINDY DAY』

著/雨街愁介

 僕らは崖の上で、風が崖の周りを削りゆく瞬間を見ている。僕は鳥篭と手紙を持っている。鳥篭の中の鳩が手紙を首に付け、僕の村のある崖の上までやってきたためだ。鳩の足には包帯が巻かれている。
「もうすぐ、来るんだ」僕は呟く。
 森の中から、がさがさという音が聞こえる。その音はやがて巨大になり、次第に影が広がって、僕らを覆うほどになる。木々の中から、巨大なドラゴンが現れる。ドラゴンは空に翼を広げ、叫ぶ。僕らは一歩後ずさりをする。けれどドラゴンは僕を翼で包み、そして背中に乗せる。友達が歓声を上げるが、その次の瞬間、ドラゴンが空に翻って、僕は宙返りすることになる。僕は鳥篭と手紙を離すわけにはいかない。僕はこの手紙をくれた女の子に、返事を渡さないといけない。寂しいことを、月と星と空と太陽と雲を見て過ごしていることを、書き綴った彼女に。
 ドラゴンが急に降下し始める。僕はドラゴンから落ちないよう力を込める。ドラゴンは雲の中を降下していく。僕は女の子が僕の姿を発見する様子を描く。彼女は返事がいつ来るかとそわそわしながら空を見ているはず。どんなに驚くだろうか。僕はドラゴンが雲を抜ける瞬間を待つ。もうすぐ、僕と彼女はお互いを発見しあう。


『風の崖と僕らのはじまり』513文字

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