『積読にいたる病 第陸回』

『積読にいたる病 第陸回』

著/踝 祐吾


 連載二周年にして、回廊内でやっと『通称・樋上病』の意味が理解されてきた今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。一応意味を説明しておくと、元ネタはギャルゲー原画家の樋上いたるさん。『積読に(樋上)いたる病』、略して『樋上病』。……くだらねー。だが安心せい、どんなにくだらなくても、水瀬秋子さんなら許してくれる!
「却下(一秒)」
 というわけで……って別に『Kanon』の話をするわけじゃないんですが。四年前にアニメ化された時はアゴとかアゴとかいわれてたんだよなぁ、と今となっては遠い想い出です(別に想い出にする必要は全くないと思います)。
 ちなみに、ゲームをあまりやらない僕から見れば、回廊という土壌はなぜかゲームとの親和性が高く、秋山編集長を始めとしてポーンさん、夏目さん、星野さん、烏兎さんとかゲーム畑の人が多いような気がします。気のせいか? むしろ僕がこの場にいることの方がたまに何か間違ってるんじゃないか、という気がするんですが……どうなのよ?
 すると当然ゲームのノベライズ、なんてのは踝が一番手を出さないジャンルで、読んだことのあるのは元長柾木の『月姫』アンソロジー掲載作品ぐらい……それもどうかと思うんだけどね。本屋のラノベコーナーを見るとノベライズ小説の多いこと多いこと。ヲタク話の種として内容ぐらいは踏まえておこうかな、と思ったりもするんですが、ぶっちゃけドラクエやFFの作品のオチを知らなかったところで人生を損するわけでもないし。今回のネタとなった『左巻キ式ラストリゾート』も本来ならエロゲーのノベライズ(もちろん子どもは読んじゃダメ)……のはずなのですが、蓋を開けてみると連続強姦魔は踊り、主人公は毒を吐き、フォント弄りされた「ひぎぃっ、ひぎいいいっ!」の文字が乱舞する……という訳が分からない内容になっております(なんつー説明だ)。まさか海猫沢めろん名義の小説作品が、エロゲーノベライズレーベルの次にハヤカワ文庫から出るなんて誰が予想出来ただろうか……少なくとも僕は予想出来ませんでした。
 で、ゲームもしない、本も読まない、じゃあなんで回廊にいるんだ、という一抹の不安を感じつつ、今回はゲームの話。あるいは踝祐吾のアイデンティティを探る旅でも可。

 先程述べたとおり、僕はほとんどゲームをしない。やったといっても、年に一回、超有名ギャルゲーをやるだけ……という生活になってしまいました。いきなり「お前はゲームの面白さを全く分かっていない!」といわれそうですが、面白さが全く分からないからしょうがない。とりあえず思い当たる原因は二つある。
 一つは単に自分の反射神経の鈍さである。これでも動体視力は結構良い方だと思ってたりするのだが(最近はさすがに落ちただろうけど)、いくら見ることが出来ても、反応が出来なければしょうがない。この反応が出来るかどうか、というのはゲームに限らず、生活におけるありとあらゆる機会において重要……なはずなのだが、僕にはなぜか全くと言っていいほど、そういうところがなぜか抜け落ちているらしい。ゆえにアクションゲームが苦手である。多分マリオもクリアー出来ないに違いない。
 また、格闘ゲームはコマンドを記憶するほどやり込んでいるわけではないので、必然的にパンチとキックのみを繰り出していく形となる。ではどうするか。パンチとキックしか出せないなら、極めて適当にボタンを連打するしかない。これが上手くいくと、ストリートファイター2のエドモンド本田なら百烈張り手が出せる、というわけである。従って僕がスト2で遊ぶ時は必ずエド本田を選択していた。要は彼しか使えないのである。
 逆に、ゲームの特性によっては、これが意外な功を奏す時もある。以前渡辺製作所(サークル名)から出た同人ゲーム『GLOVE ON FIGHT』では、とにかく「殴る! 殴る! はっ倒す!」の精神でパンチを何の考えもなく繰り出していたので、イージーモードだったら何とか対戦で勝利するぐらいには上達した。多分今やっても勝てないだろうなぁ、と思わず遠い目をしてしまうのが悲しいところではあるんだが。
 二つめの理由は、僕の初めて買ったファミコンソフトによるトラウマがある。ファミコン誕生から六年、小学校中学年ぐらいの時に初めて買ってもらったゲーム機がファミコンであり、当然ファミコンだけでは遊べないのでゲームソフトを買ってくる。ちなみに弟の購入したのはテクモの『忍者龍剣伝』。これがなかなか難しいが、それなりに面白かった。
 しかし、僕の買ったソフトが悪かった。
 僕は当時まだ十にも満たないお年頃、初めてのゲームソフトなんて何を買ってもらったらいいか全く分からない。従って適当に、面白そうなのをチョイスしてみた。
 結果、僕の選んだのは『ウルティマ 恐怖のエクソダス』……今やオンラインゲームの一つとなった『ウルティマシリーズ』の、初邦訳移植作品である(元は『Ultima III』)。もちろん攻略本という物を買うお金もなく(売っている本屋もなく)、半ば自力で解こうとしましたが小学生の頭脳ではその難度に太刀打ち出来ず、「もう二度とRPGはやらん!」と心に深く誓ったのでした(とはいえ、同時期に従兄宅でやった『ドラクエ2』はかなり面白かった記憶があるのですが。結局クリアせずに放置してしまいましたが……リメイク版も出てますし、機会があればやろうかな)。
 で、この話にはつづきがあって、それから十五年後にネットでアマゾンのレビューを見たら、〝伝説のクソゲー〟扱いされていてびっくりというか、呆れたというか、「こんなゲームにまじになっちゃってどうするの」という北野武の有り難いお言葉を思い出してしまったというか……。結構やるせない気持ちでいっぱいだったりします。ちなみにそのソフトは現存しており、弟がたまに遊んでいるらしい。解けたかどうかは分かりませんけど(興味もないし)。

『積読にいたる病 第陸回』 そんなわけで一種のゲームアレルギーとなってしまったのですが、決してゲームそのものが嫌いなわけではなく、僕にとってバイブル的なゲームも多々存在します。
 例えば『逆転裁判』シリーズ。当初は大学時代、僕の所属サークルの先輩が持ってきたのがきっかけで、「踝やってみたら?」と借りたのが、僕とこのゲームとのファーストコンタクト。僕なんかはミステリ好きでもあるため、ちょっと肩慣らし程度でやらせてもらったらこれが面白い。結局借りた午後一〇時から朝の六時まで、さらにそれを持ち帰らせてもらって、三日ぐらいで解いたのでした。……ちなみに2も借りてやりました……さすがに3はGBAと一緒に買いましたけどね。あー、早くDS買った方が良いのかなぁ……。冗談はさておき。
 前述の理由から、僕はアクション系ゲームが得意ではありません(シューティングゲームは言わずもがな)。従って僕のやるテレビゲームは、アドベンチャー系かパズルゲーム、となります。なんだかパズルゲームもアクションに分類されうる気がするのですが、多分予想外の出来事が起こる確率が低く、かつマイペースで楽しめる、というのが良いのかも知れません。テトリスに一時期填っていた時期もありましたのでね。さすがに宇多田ヒカルみたいにカウンターストップは達成出来ませんでしたけれど……。
 あとは先に述べたとおり、アドベンチャーゲーム……狭い範囲でいえば『ギャルゲー』でしょうか(笑)。僕は『Kanon』を「張り巡らされた伏線! これぞミステリだ!」と公言してはばからない人間なのですが、あまり同意してくれる人がいないので哀しいばかり。今やプレイステーションでも出来ますし、全年齢版なんてのもあるので、是非楽しんでいただきたい作品ではあります。
 ちなみにミステリとギャルゲーってのはなぜか妙に制作者層が被っているらしく、例えば『月姫』『Fate』の奈須きのこ氏はミステリ好きを公言されていますし、逆にミステリ作家の小森健太朗氏はラノベや漫画やギャルゲーに言及する事多々、とまぁ色々です(ギャルゲーじゃないけど、綾辻行人の作ったRPG、ってのもあったなぁ……)。
 余談ですが、〝Kanonミステリ説〟と同じくらい僕が声に出しているのが〝佐藤友哉あぼぱ起源説〟。要は作家・佐藤友哉とかつてあったエロゲメーカー・アボガドパワーズ(通称・あぼぱ)の共通点を無理矢理探してみた、みたいなモノなのですが……。デビュー作『フリッカー式』(最近文庫化されましたね)では、そのホラーっぽい背景とネタをこれでもかと散りばめた文章もさることながら、北海道に深い関わりがあること(佐藤友哉は北海道出身、あぼぱはかつて北海道に本拠地を置いていた)、それから『フリッカー式』の重要キャラの一人に『大槻涼彦』なる人物が出てきていること(アボガドパワーズのシナリオライターは『大槻涼樹』氏(※現・『LOST SCRIPT』所属)とあって、「もしかしたらもっとネタがあるかも知れない!」とあぼぱファンの友人H氏に『フリッカー式』を貸して元ネタを探してもらったのですが全く返事は来ず。母さん、僕のあの依頼どうしたでせうね……。ママ~ドゥユゥリメンバ~(ちなみに本はあとで笹井一個装丁版を買い直しました)。
 とまぁ、とりあえず僕は語れることは語れるのですが、あまりにもやっているゲームに偏りが見られるので、語るにはちょっと知識というか、経験が不足しているなぁ、とは思っています。実際作ってみたいとは思うんですけれどね。そういえば『月姫』以後は明らかに同人ノベルゲームが増えたなぁ……と思います。もちろん、それ以前にもアドベンチャーツクールとかサウンドノベルツクールとか、そういう文化が出来る土壌はあったのですが(僕もツールダウンロードしたしね)。ただ、やっぱりそういうツール系はパソコンじゃないと大変、というのもあります。てか、ファミコンとかプレイステーションのコントローラでちまちま入力してたら、死ぬ。やったけどな。
 更にいうなら一時期音ゲー(というか、DDR)にも填っていました。運動神経もへったくれもないのに、こういう単純なのは大好きなので……残念ながら神の領域にいたるにはまだまだ時間が必要のようです。

 コンピュータゲームから少し離れて。非電源系……例えばTRPGとかですが、僕の場合はもっぱらボードゲームを中心に遊んでいます。とはいえ遊ぶ機会もめっきり少なくなってしまったので残念ではあるんですが(要は遊び相手がいない)。
 その中でも特に填ったのがクイズゲームで、『SHOWbyショーバイ!』のボードゲームとか『マジカル頭脳パワー!』のボードゲームとかを弟を無理矢理巻き込んで遊んでいました。残念ながらこういうのが好きなのが自分の周りに僕しかいないので、滅多にやりませんでしたが。
 僕の場合、クイズに解答するよりもクイズを出題する方が好きで、多分そういう目立ちたがりな部分もあったからだとは思うんですが、自分の考えたクイズに答えてもらえる素晴らしさと言ったら! と考えると感慨無量であります。そんなところが、実は今ミステリを書きつづっている理由なのかも知れません。
 何かこうして適当に書きつづってみると『自分の好むゲームの傾向と対策』みたいなモノが見えてきて、ある意味感慨深くはあります。何だ、ゲームやらないやらないって結構やってんじゃん自分。とはいえ、少なくとも一般的なヒット作とは無縁の所にいるようなので、ヲタク世界以外の所に出る時は気をつけないといけないなぁ……。

                                         (第陸回・おしまい)

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