十号記念祭インタビュー(1)

小説部門 作家別・作品別一位 ◆ ポーン


── 本日は小説部門の作品別と作家別の一位に輝いた、ポーン氏にお越しいただきました。よろしくお願いします。

ポーン はじめまして、ポーンです。ステッパーズ・ストップというサイトで自作のゲームや小説、絵などの作品を公開しています。おおむねゲームがメインと思っています。回廊では二度ほど執筆させていただきました。よろしくお願いします。

── 今回は「ブラッド・スカーレット・スター」が64ポイント獲得、「神殺しの三段論法」が8ポイント獲得という投票結果になりました。おめでとうございます。

ポーン 8倍。そんなに差があったんですね。「神殺しの三段論法」はゲームブックだから、馴染みにくいのもあったのかもしれません。「ブラッド・スカーレット・スター」の方が、派手というかカラフルではあるとも思います。

── それでは、この作品を書くことになったきっかけから教えてください。

ポーン 「神殺しの三段論法」ともどもそうなんですけど、編集長に誘われて、ですね。執筆しませんかと。

── 秋山とは元々、お知り合いなんですか?

ポーン はい。自サイトを立ち上げたときから。その時、初心者です助けてくださいって感じで助けてもらって、お世話になってます。

── 「ブラッド・スカーレット・スター」の着想はどのように得られましたか?

ポーン 本はあまり読まない方なんで有名かどうかも分からないんですけど、幸田露伴という小説家の「血紅星」という作品を読んで、盛り上がった感じです。ああ、小説ってこんな馬鹿もできるんだなあと、エネルギーをもらったというか。非非非とか、言葉での遊び方が、西尾維新みたいだなとおもって。筆が折れかねない勢いですよね。

── 幸田露伴を西尾維新とつなげるとは、また突飛ですね。

ポーン 言葉を執拗に繰り返して、なんていうんですかね、都都逸って言う? 言わない? とにかく、繰り返しで視覚にまで訴えるというか。第一印象がそれでした。もはや小説って認めてもらえないようなことを進んでやる、みたいな。回廊には縛りがない感があるので、そうあれかしと思って書きました。

── この作品は当初、2で終わっていましたが、3以降を書き足したのはどうしてでしょう?

ポーン 担当編集のキセンさんに煽られたからです。「面白いです、素晴らしいです、でもこれがポーンさんの本気ですかー?」みたいな言い回しで。それで、こりゃ前方向にムキにならんといかんな、と。

── しかし、3以降を書き足したことによって、だいぶ作品の質が様変わりしましたよね。

ポーン 2までがその時描いたものですが、3からは走り書き的な端材を寄せ集めて形にしたからですね。無理に詰め込んでみたら統一感がなくなったので、じゃあまあそれを長所にしようとおもいました。

── そうだったのですか。構成として上手く決まっていたので、意図的なものかと思いました。

ポーン 偶然の要素が大きいとおもいます。何度も同じ風には出来る気はしません。モデルとしては、麻雀とかカードゲームみたいのを想定しています。

── 麻雀やカードゲーム、ですか。

ポーン 「小説力」みたいな、RPGみたいに修行して積み立てて、確実に向上するものってよりは、自分が何に刺激を受けてるかはそのときによって違うし、たとえば回廊の執筆をうけたまわっているとか、自分のコンディションも環境も違うのでそのときあるカードで何とか役をつくりましょう、といった按配の。

── 麻雀の牌やカードを使って役を作るように、小説を書くということですか?

ポーン そうです。「回廊で書くことになった」というのもまた、牌やカードに含まれますし、小説で表現したいものもそれに含まれます。また、読み手に喜ばれたいという気持ちもあります。虚栄心にしろ共感にしろ、それはあるし、自分が喜ぶものを作ってそれが読者の需要と一致すればいいなという祈りもあります。

── なるほど。それでは少し話を戻して。エルフィン・ハイウェイなど、ポーンさんの他の作品と共通する設定が見受けられますが、具体的にどれがどこと繋がっているか教えていただけますか。

ポーン エルフィン・ハイウェイは、自サイトの「パラメータ・サンクチュアリ」で出したゲームや、「ステッパーズ・ストップ」で「アンディーメンテ・アザーズ」として出したゲーム「lindy」で出てきます。

── 聖剣や魔王に関しては、いかがでしょう?

ポーン 僕のほかのゲームとかにも聖剣や魔王は出てきますが、共通するのは言葉だけですね。設定で明白なつながりは無いです。ただ、その言葉をヘンな風に使ったりして生じる捻じれ方には、類似があるかも分かりません。たとえば、魔王が人間であるところとか。

── てっきり深いところでは繋がりがあると思っていただけに驚きです。

ポーン まあ、ハイウェイはネットワークなので、世界と世界を繋ぐ疎通路にもなり得るとおもいます。

── エルフィン・ハイウェイによってポーンさんの色々な作品が繋がって、より大きな物語が現われる日を思うと、少しわくわくします。

ポーン 僕もなんだか、わくわくしてきました。

── それでは引き続き、物語に関する質問ですが、最後の一行を思いついたきっかけを教えてください。

ポーン 持ってきたというか、最後まで書いて、そのとき思いついたものですね。タクティクスオウガのラストの記憶がぶり返したのかも知れません。あるいは中学の時に暗記させられた、平家物語のプロローグとか。無常観ですね。滅亡を愛でる感性なのに、なんで後ろめたくないのか不思議です。

── 無常観に関しては考えさせられました。実に空虚な結末ですよね。

ポーン 確かに。

── 大仰な言い方をすると、この物語がこんな結末でいいのかと愕然としました。

ポーン 「終わりかよ!」と突っ込んでもらいたい気持ちが無かったとは言い切れませんね。ビックリマークがダブリューマークになってもいいですが。

── 終わりかよw

ポーン イエス!

── 喜んでいただけたようで良かったです。それでは「ブラッド・スカーレット・スター」から少し離れて、観念的な話に移ってみたいと思います。ポーンさんは小説だけでなく、ゲームやイラストも手がけていますが、どうしてそういった創作活動を行うのですか?

ポーン たぶん理系なのでそのへんはよく自問しますが、最新の答えは、「単一の動機では結論づけられねえなこりゃ」です。

── では、せめて片鱗だけでも教えてください。

ポーン 作ることそのものの楽しさだったり、まだないものを作りたかったり、自分のための理想郷をつくりたかったり、いろいろです。現実逃避願望や虚栄心も決して小さくはないです。まあ、はじまりで言えば、小学生の頃の俺ドラクエの夢想とかかなあ。

── 俺ドラクエ! 詳しく教えてください!

ポーン あ、いや、ギガデインより強い呪文とか、ゾーマより強い敵とか、ありがちなやつです。邪気眼を連想した方が早いかも。中二力ですね。

── ポーンさんにもそんな時代があったのですね(笑)

ポーン その時がなければ、今の僕は無かったとおもいます。

── 恐るべし中二力。

ポーン 恐るべし。

── では、最後に、読者の皆さんにメッセージがあればお願いします。

ポーン 少なくともインタビューを読んでくれてありがとうございます。もし当作品を読んで、そしてつまらなかったら、それは申し訳ありません。また、面白かったとしても、どんなに素晴らしいと思っても、たぶんそのうち飽きる日がくるんじゃないかとおもいます。揮発性というか消費物と思って、覚悟してもらえると助かります。しないのもむろん自由ですけども。と。

── ありがとうございました。

ポーン ありがとうございました。

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