『ROSE PLASTIC STORY』

著/雨街愁介


 世界にはいくつかの赤い薔薇がある。彼は黒いショルダーケースを持っていた。今日中に店を閉めるというので僕は出かけた。手紙が届いた。外に出るべきかどうか、ずっと、迷っていたのだ。その子の目覚まし時計には日曜朝七時の、ヒーロー番組の主人公が刻まれていた。深夜。友よ、死ぬことにした、二時にラウンジへ来てくれ。街に出て、トランペットを探さなければならない。とても昔のあなたは輝いていた、……昔は、ね。彼は目覚めたが、その途中睡魔に襲われソファーの上で眠り出した。私は確かにずいぶん歳をとった、が……。自動ドアの向こうから、オルゴールの音色が響いてくる。彼女は起きだし、あの人は徹夜していたのかしら、と思った。せっかくここまで来てやったのに、その理由は何だ? 楽器を無くしたくらいでだな……。僕は彼女に言葉を返した、確かに僕は情けない、けれども、君を思っているのは本当だ。短い関係の連結で、世界は構成されている。怖いんだ、どんどん腕を鈍らせていくのではないかと。彼女は言った、だったら賭けでもする? どう。簡単な事だ、新しく買えばいい。彼女はなおも言った。今日シャッターを閉めるまで、あのトランペットが売れたら。俺はひたすらこのトランペットを取り扱っている店を探した。構成されたその連結部は、紛れもなく、美しい。だったら僕からも賭けの条件を出させてほしい。まるで、薔薇の花弁のように。私は身振りで楽器屋の道を訊いた。そんな、まさか、俺には出来ない……。僕は言った、ならば約束する、僕は君のために何かを成し遂げる、何がいいだろう……小説なんか、どうかな? 私はトランペットをくれ、と言った。彼女はソファーの上で寝ている夫を見つけた。その子が目覚めたとき、目の前にはママがいた。飛行機の中で、俺は詰まれている筈のトランペットを思い描いた。彼は目覚め、辺りを見回す、そばには彼女とわが子がいた。朝だ。光が窓から射す。これからどんなことをあいつとやろうか? その子は寝ぼけ眼のパパの傍に寄り、パソコンのディスプレイを眺めた。そこにはいくつかの文字があった。世界にはいくつかの赤い薔薇がある


『解離的ラヴ・ストーリー』882文字

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