オンライン小説書評『ひこうき雲』

著/品川蝶

作品URL/http://db.rash.jp/hg/
dancing butterfly内)

原稿用紙換算32枚

「縁日の設営の手伝いをしてほしい」叔父の頼みで主人公・樋渡翔は二十五年ぶりに帰郷した。しかし、あまりに様変わりしてしまった田舎をまえに、彼は改札を降りたところで立ち尽くしてしまう。そのとき彼に「どうかしました?」と声をかける女性が現われ、主人公のなかでゆっくりと過去の記憶が浮き上がる……。
 夏の青空を背景に、文字はさわやかな青。ページにアクセスした瞬間から、なんだか懐かしい想いに囚われた。その色は主人公が叔父や年の離れた従弟と会話を交わすごとに濃くなり、縁日のために提灯を組み立てるシーンなどは、まざまざと思い浮かべることができた。しかしそこから先の、二十五年ぶりに再会した女性との会話や情景は、ややトーンが落ちてしまったように思う。記憶がよみがえるのも、ふたりの会話も距離が近づくのも駆け足で、置いていかれた感が強い。主人公がもう少しゆっくりと記憶を取り戻してくれたら、彼が感じた切なさや時の重みに共感できただろう。(秋山真琴)

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