『MEANINGNESS』

著/キセン

 作っては壊し、描いては消し、積み上げては崩していると、そのうちに有るということと無いということが綯い交ぜになっていく。すべてのものは有るということと無いということを含んでいる。あるいはこういうこともできるだろう。有るということは即ち無いということが無いということであり、無いということは即ち無いということが有るということだ。そしてもちろん僕もそうだ。そう気付いたときから、僕は生きることが苦痛でなくなった。有るということと無いということの境界で僕はいかようにもなれた。定形にも不定形にも液体にも気体にも。それなのに、二時間目と三時間目のあいだのわずかな時間に保健室にやってきた彼女は。
「その程度? あたしは普遍なのに。有るとか、無いとかじゃなくて、あたしは〈在る〉のよ。無くなりようがない、絶対的なものになれてるのに、あなたはどうしてそんなに卑しいの」
 云い残して普遍に戻るのだ。どうしたら〈在る〉ということになれるのだろうと僕は考える。有るということと無いということの境界の、さらに外側に広がる無辺に〈在る〉ためには――簡単な話だ、彼女がしたようにすればいい。僕は階段を一段抜かしで昇っていく。ずっと横になっていたせいか、脚がもつれてうまく走れない。


『烏有無尽』525文字

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