『SOMEDAY』
永遠という訳でもなく死別でもなく、だがそれは兄妹たちには永遠とも思える別離になろうとしていたのだ。
幼き頃の二年とはあまりにも長く、それは確実に兄妹に重くのしかかってくる。
歳が上だった兄のほうが少しばかりの分別を備え、幼かった妹は聞き分けがなかった。兄は静かに瞑目し、それが無言の肯定へと昇華し、一方妹は泣きわめき、一晩中暴れ回った。
時は無情にも訪れて、兄妹は引き裂かれようとしている。
「たったの二年さ」
兄は言う。妹はふてくされて、顔を横に向けていた。
「二年、分かる?」
「わかんない」
「……一年は?」
「……わかんない」
何も分からない妹のために、兄は考えた。
「このくらい」
ふてくされた妹の前に跪き兄は妹の薄い胸に指で触れる。妹がついと目線を動かし、兄の指先と顔とを順に見る。
「おまえの髪が、このくらいになるまで」
目を見返し、兄は言う。
「待てるかい?」
「……うん」
ざんばらの短い髪の毛を指ですき、紅色をした小さな頬にふれて別れた。
再会した妹は、腰まで届く黒くつややかな長髪をゆらして、兄を駅まで迎えに行った。
「うそつき」
開口一番に妹はそういって、向日葵みたいな笑顔を兄へと向けた。
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